チャート分析の中でも、もっとも古くから使われている手法の一つが「トレンドライン」です。特別な計算式もなく、チャート上に自分で線を引くだけというシンプルさが特徴ですが、だからこそ引き方次第で見え方が大きく変わってしまう、奥の深いテクニックでもあります。
この記事では、トレンドラインの基本的な引き方と、初心者が陥りやすい間違い、そして実践での使い方のコツを説明していきます。
トレンドラインとは何か
上昇トレンドの場合は安値と安値を結んだ線、下降トレンドの場合は高値と高値を結んだ線を引くのが基本です。この線が、その後の値動きに対してどう機能するか(支えになるか、跳ね返されるか)を見ることで、トレンドの強さや転換のタイミングを探ります。
線を引くための2点は「目立つ安値・高値」を選ぶのが基本ですが、どの安値・高値を選ぶかによって線の角度が変わってしまう、という点が最初のつまずきポイントになりやすい部分です。
例えば、米ドル/円のチャートで、直近の安値が145円→146円→147円というように切り上がっている場面を考えてみます。この3つの安値を結ぶと右肩上がりのトレンドラインが引けますが、最初の2点(145円と146円)だけで線を引いた場合と、3点すべてを通るように引いた場合とでは、線の角度がわずかに変わります。3点以上をきれいに通る線の方が、より多くの参加者に意識されている可能性が高い、信頼度の高いラインだと判断できます。
初心者が陥りやすい間違い
もっとも多い間違いは、「自分の見たい方向に合わせて線を引いてしまう」ことです。上昇してほしいと思っていると、無意識に安値を都合よく選んで右肩上がりの線を引いてしまう、という現象は多くのトレーダーが経験します。これでは分析ではなく、願望を線で表しているだけになってしまいます。
もう一つのよくある間違いは、線を1本引いただけで「このライン通りに動くはずだ」と決めつけてしまうことです。トレンドラインはあくまで目安であり、値動きが線を突き抜けることも普通に起こります。線を引いたら終わりではなく、その後の値動きを見ながら都度引き直す姿勢が必要です。
複数の時間足で確認する
同じ通貨ペアでも、1時間足では上昇トレンドラインが引けるのに、日足で見ると横ばい(レンジ)にしか見えない、ということはよくあります。短い時間足だけでトレンドラインを引いて売買判断をすると、より大きな流れに逆らったポジションを取ってしまうことがあります。まずは日足や4時間足など長めの時間足でおおまかなトレンドラインを引き、そのうえで自分がメインで取引する時間足のラインを引く、という順番で確認すると、大きな流れを見誤りにくくなります。
トレンドラインを使う際のコツ
できるだけ多くの安値・高値に触れている線ほど、多くの市場参加者に意識されている可能性が高いと考えられます。1点だけを結んだ線よりも、3点以上がきれいに触れている線の方が、信頼度は高いと見てよいでしょう。移動平均線やRSIなど他の指標と組み合わせて、トレンドラインだけに頼らない判断を心がけてください。
線を引く際は、ローソク足の「実体(始値・終値)」を基準にするか「ヒゲ(高値・安値)」を基準にするかでも、微妙に角度が変わります。決まった正解はありませんが、多くのトレーダーはヒゲの先端を基準に引きつつ、実体が集中している価格帯も補助的に意識するという使い方をしています。両方で線を引いてみて、より多くの反発が見られる方を採用するのも一つの方法です。
チャネルラインへの発展
トレンドラインに慣れてきたら、もう1本、値動きの反対側(高値同士、または安値同士)にも平行な線を引いてみてください。上下2本の線で値動きを挟み込む「チャネルライン」ができあがります。上昇チャネルの下限で反発、上限で反落というパターンが見えてくると、押し目買いや戻り売りのタイミングをより具体的に絞り込めるようになります。
よくある質問
トレンドラインは何本も引いていいですか?
問題ありません。ただし線を引きすぎるとチャートが見づらくなり、かえって判断を鈍らせてしまうこともあります。まずは直近の値動きに対して1〜2本、意識できる線を引くところから始めましょう。
ラインを割ったら必ずトレンド転換ですか?
必ずではありません。一時的にラインを割ってすぐに戻る「だまし」もよく起こります。ライン割れの後、値動きがその方向でしばらく継続するかを確認してから判断するくらいの慎重さが必要です。
サポートライン・レジスタンスラインとどう使い分ければいいですか?
トレンドラインは斜めに引いて値動きの「方向性」を確認するのに向いており、水平に引くサポート・レジスタンスラインは特定の価格帯での「反応」を確認するのに向いています。両方を重ねて表示し、両方の線が近い位置で交わるポイントは、特に反発・反落が起きやすい注目ポイントになります。
暗号資産のチャートでも有効ですか?
有効です。ただし暗号資産は値動きが荒く、ラインの引き直しが頻繁に必要になる傾向があります。FX以上に「引いて終わり」にせず、こまめに見直す前提で使うとよいでしょう。
トレンドラインは、シンプルながら奥の深いテクニックです。まずは願望ではなく事実(実際の安値・高値)にもとづいて線を引く習慣をつけることから始めてみてください。
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