ローソク足やインジケーターの見方をひと通り覚えても、実際のトレードで一番差がつくのは「損切りができるかどうか」だと言われます。どれだけ精度の高い分析ができても、損失が出たときにルールなく持ち続けてしまえば、それまでの分析は意味を持ちません。
この記事では、損切りルールをどう決めればいいのか、初心者がつまずきやすいポイントとあわせて説明していきます。
なぜ損切りルールが必要なのか
含み損を抱えたポジションは、「もう少し待てば戻るかもしれない」という心理が働きやすく、多くの人が損切りを先延ばしにしてしまいます。この心理は誰にでも起こるもので、意志の弱さの問題ではありません。だからこそ、感情に左右されずに機械的に判断できる「事前に決めたルール」が必要になります。
ポジションを取る前、まだ含み損も含み益も出ていない冷静な状態で損切りラインを決めておくことが、感情的な判断を防ぐ最も確実な方法です。
損切りラインの決め方
代表的な決め方の一つが、サポートライン・レジスタンスラインを基準にする方法です。例えば、サポートラインの少し下に損切りラインを置いておけば、「そのラインを本当に下抜けた場合は、想定していたシナリオが崩れた」という明確な根拠を持って損切りできます。
もう一つの代表的な方法が、資金に対する損失額の割合で決める方法です。例えば、口座資金が20万円で「1回のトレードで失ってもいい金額は口座資金の2%まで」とルールを決めていた場合、1回の損切りで失う金額の上限は4,000円になります。この4,000円という金額と、実際にエントリーする価格・想定する損切り価格の差から、逆算して取引ロット数を決める、という順番で考えると、レバレッジの高さに関わらず1回の失敗で受けるダメージの上限を一定に保つことができます。
損切り貫通のリスクにも備える
為替介入の記事でも触れた通り、急激な値動きでは損切り注文が想定した価格で処理されず、想定以上の損失になる「スリッページ」が起きることがあります。ゼロカットシステムのある業者を選んでおけば、口座残高がマイナスになる事態は避けられますが、入金した資金自体が想定より大きく減るリスクは残ります。損切りラインを引く際は、この貫通リスクも織り込んで、少し余裕を持ったポジションサイズにしておくと安心です。
トレーリングストップという考え方
含み益が乗ってきた場合、損切りラインを最初の位置に固定したままにするのではなく、値動きに合わせて有利な方向に引き上げていく「トレーリングストップ」という考え方もあります。例えば上昇トレンド中に含み益が増えてきたら、損切りラインを直近の安値の少し下まで引き上げていくことで、利益をある程度確保しながらトレンドの続く限りポジションを持ち続けることができます。最初に決めた損切りラインを一切動かさないという硬直的なルールよりも、こうした柔軟な調整を組み込んだ方が、実践的な資金管理になる場合もあります。
損切りが続いた直後は、取り返そうとして根拠の薄いエントリーを繰り返してしまう「リベンジトレード」に陥りやすいタイミングでもあります。連続して損切りになった場合は、一度取引から離れて頭を冷やす、その日の取引を打ち切るといったルールもあわせて決めておくと、感情的な取引による傷口の拡大を防げます。
複数ポジションを持つ場合の合計リスク管理
複数の通貨ペアで同時にポジションを持つ場合、1つ1つの損切り幅だけでなく、すべてのポジションが同時に損切りになった場合の合計損失額も把握しておく必要があります。値動きが似た通貨ペア同士(例えば米ドル/円とユーロ/円)を複数持つと、実質的に同じ方向のリスクを重複して抱えていることになりがちです。個別の損切りルールに加えて、口座全体で見たときの最大損失額にも上限を決めておくと安心です。
よくある質問
損切りラインは一度決めたら動かしてはいけませんか?
ポジションを持った後に、含み損が増えてきたからという理由で損切りラインを不利な方向にずらすのは避けるべきです。ただし、新しい根拠(サポートラインの引き直しなど)にもとづいて事前に見直すことや、含み益が乗った際に有利な方向へ引き上げること自体は問題ありません。
損切り貧乏になってしまいます。どうすればいいですか?
損切りラインが近すぎる、あるいは根拠が薄い場所に置いていることが原因である場合が多くあります。値動きの通常の範囲内でも触れてしまうような近すぎるラインではなく、サポート・レジスタンスなど、根拠のある水準まで少し余裕を持って設定してみてください。
1回あたりの損失割合は何%が適切ですか?
明確な正解はありませんが、口座資金の1〜3%程度を上限にしているトレーダーが多い印象です。割合を大きくするほど早く資金を増やせる可能性がある一方、連続で損切りが続いた場合のダメージも大きくなるため、まずは小さめの割合から始めて、自分のトレードの成績を見ながら調整するのがおすすめです。
暗号資産のトレードでも同じ考え方でいいですか?
基本的な考え方は同じですが、暗号資産は値動きの幅がFX以上に大きいため、損切りラインとエントリーポイントの距離(値幅)も相応に広げて考える必要があります。資金に対する損失割合を基準にする方法が特に有効です。
損切りルールは、テクニカル分析の知識と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な要素です。ポジションを取る前に損切りラインを決める習慣をつけて、感情に左右されないトレードを目指してみてください。
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